普通、個体は液体に沈むのに、なぜ氷は水に浮く?
氷は水に浮きます。
当たり前のことのようですが、これは、自然界では非常に奇妙な現象なのです。
物質は、個体の状態より液体の状態の方が、体積が大きいのが普通です。
これは、固体が液体に変わると分子の結びつきが切れて振動運動を始め、このとき体積が増えるからです。
固体の体積の方が小さいということは、密度は液体よりも固体の方が大きいということ。
もし水が他の物質と同じ性質なら、氷は水の中に沈むはずです。
どうして水だけが、こんな例外的な性質を持っているのでしょう。
水の分子はH2Oの化学式からもわかるように、酸素を真ん中にして水素を二つつけたような形をしています。
氷の中では、水の分子は水素結合という特殊な結合をして、ほぼ全部の分子が一つのかたまりのようになりますが、水素結合の並び方は場所をとるのです。
しかし、氷が解けて水になるとすき間にも分子が詰まるため、体積が小さくなります。
水の分子が水素結合という特殊な結合しているために、個体の方が液体より体積が大きくなります。
つまり、個体になっても低密度なのです。
だから、氷が水に浮くという現象が起きるわけです。