「ウサギさんの耳はどうしてそんなに長いの?」
ふだんはちょこんと跳ねて立ち止まり、耳をすましてまた跳ねて、を繰り返しているウサギですが、その気になれば相当なスピードで走れます。
野ウサギが敵に追われたときなど時速70キロで逃げるそうですから、その足の長いキリンの時速40キロより、はるかに速いのです。
しかし妙なのが、全力疾走する野ウサギが耳を立てたままでいること。
敵の居所や接近してくるかどうかを探るときなら、感度の良い耳を立てる必要があることもわかりますが、追われているのがはっきりしている以上は、耳の集音機能はさほど必要がないような気がします。
第一、あんなに長い耳では、空気の抵抗を受けて走る邪魔になりそうです。
ところがウサギにとっては、全力疾走のような激しい運動のときこそ、耳を立てておく必要があるのです。
なぜかといえば、体熱を放出するため。
人間なら発汗で、犬なら舌を出すことで余分な体熱を放出しますが、ウサギは耳から熱を出して体温が上がりすぎないようにしているわけです。
要するに、あの長い耳は体温調整が主な役割。
集音器として優れているところも確かですが、それだけなら縦長に限る必要はありません。
耳が長いのは、上のほうへ熱を逃がすための形なのです。