杮落としの「こけら」って何?
「柿(こけら)」とは「材木の削りくず」のことです。
江戸時代、歌舞伎風建設の工事完了時に、屋根の上から最後に削りくずを落としました。
そこから劇場工事の完成を指すようになり、さらに新築開場の興行自体をいうようになっていきました。
今では劇場に限らず、新設した施設の落成式でも使われたりします。
このように歌舞伎要望由来の現代語は、意外とたくさんあります。
「黒幕」 もとは歌舞伎の場面転換に使う黒い幕ですが、転じて「裏ではかりごと巡らす悪い人」とか「自分は表に出ず、他人を操って影響力を行使する人」などに使われます。
「色事師」 歌舞伎の和事の濡れ場を得意とする役者。 それが現代では「女たらし」「情事に巧みな男」と使われます。
これ以外にも「板に付く」「三枚目」「捨て台詞」「暗転」「下世話」「段取り」「黒衣」「大立者」「お家芸」「一枚看板」「裏方」「幕切れ」「のべつ幕無し」「世話女房」「幕開け」「愛想づかし」等々、歌舞伎に関係した言葉は、きりがないほどたくさんあります。
いかに歌舞伎が庶民の生活に入り込んでいたかがよくわかります。