ブロッコリーをよく食べる人にうつ病が少ない?

日本の高齢者には 「昔はブロッコリーなんて野菜は知らなかった」 という人も少なくないでしょう。

この野菜が日本にもたらされたのは明治以降ですが、よく消費されるようになったのは近年になってからです。

いまではブロッコリーは健康増進効果が期待される緑黄色野菜として人気を集めています。

 

ブロッコリーの栄養素としてとくに注目されているのが「スルフォラファン」という成分です。

人間の老化や病気は、体の細胞が酸化して遺伝子が傷つくことによって促進されると考えられていますが、フィトケミカルという植物成分はこの酸化を防ぐ抗酸化力を持っています。

スルフォラファンは、約200種類あるフィトケミカルの中でも、もっとも強い抗酸化力があるそうです。

スルフォラファンはブロッコリーそのものより、ブロッコリーのもやし=ブロッコリースプラウトにたっぷり含まれています。

スルフォラファンには血糖値を下げる働きがあるため、糖尿病などの生活習慣病の他、脂肪肝と肝臓がんの予防効果、花粉症の改善効果、ピロリ菌を抑えて胃がんを予防する効果などについても報告があります。

また、アメリカでは自閉症やコミュニケーション力の改善効果についても報告されている。

すなわち、精神面にも効果があると考えられるようになっているわけです。

 

現在、日本では15人に1人がうつ病を発症しているといわれます。

世界保健機構(WHO)の報告では、世界中で3.2億人がうつ病を発症し、年間80万人が自殺しています。

うつ病薬物療法として、抗うつ薬などが使用されていますが、既存の抗うつ薬が効かない治療抵抗性うつ病の患者もいます。

ストレスなどの要因がうつ病の発症に関わっていることが知られていますが、うつ病発症の詳細なメカニズムには不明な点も多いのです。

 

2016年、千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二教授(精神科学)らは、スルフォラファンがうつ病の予防や再発防止に効果があるとの研究報告を発表しました。

 

大きさの違う2種類のマウスを同じケージに入れて、攻撃的な大型マウスに小型マウスをいじめさせるなど、小さいマウスに恐怖とプレッシャーを与え続けました。

小さいマウスは人間と同じように「社会的敗北ストレス」を感じ、うつ症状を引き起こすようになります。

しかし、小さいマウスに事前にスルフォラファンを注射すると、そのうつ症状はあまり目立たなくなりました。

スルフォラファンの抗酸化作用が脳の炎症を抑え、うつ病予防に役立ったのではないかとされています。

抗うつ剤の副作用で苦しんでいる患者はとても多いのですが、このように食べ物で症状を改善できるなら、とても明るい話題です。

[su_box title="治療抵抗性うつ病"]

抗うつ薬による適切な治療を行っても改善しないうつ病

中等症以上の症状が続く治療抵抗性うつ病は、うつ病の1~2割にお及ぶと推定される。

こうした症例に対しては、抗うつ薬に加え非定型抗精神病薬といわれる薬剤を組合わせる治療法が効果を発揮する場合があるといわれる。

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