セミはいつ脱皮しているのか?
夏になると、木の幹にくっついているセミの抜け殻をよく目にします。
子どもの頃、この抜け殻集めに夢中になったという人もいるのではないでしょうか。
ところで、抜け殻は目にするけれど、セミの脱皮がいつ行われているのかは、意外にしられていません。
午後7時頃、セミは地中の穴から這い出し、夜の間に脱皮するのです。
セミが夜のあいだにコトを進めてしまうのには深い理由があります。
セミの幼虫が7年間も地中で生活することはよく知られていますが、実はこの幼虫、小鳥の大好物なのです。
ですから、小鳥が活動している日中や早朝に穴を出てウロウロしていると、すぐに見つかって食べられてしまいます。
運よくそこで捕まらなくても、脱皮中の何時間かはまったく動けないわけですから、とても危険。
食べられたのでは、地中での7年間が水の泡になってしまいます。
そこで幼虫は本能に従って、小鳥が巣に帰り眠る時刻を見計らったように、地中の穴を抜け出し、安全な夜のあいだに脱皮をすませてしまうのです。
そして、小鳥のさえずり始める頃には、自力で逃げ切ることのできる羽が立派に備わっているわけです。
羽さえあれば、木々のあいだをぬって逃げのびることができます。
自然界は本当にうまくできているのです。