カンガルーは探検家の勘違いでついた名前
「多くの男女が、島の道を、手に手に何かの燃えさしを持って、いぶしながら歩いている」
1492年、アメリカ大陸を発見したときに、サン・サルバドル島で目にした不思議な光景を、コロンブスは「航海誌」にこう記しています。
燃えさし(何かの燃え残り)と思ったのはインディアンたちが用いていたパイプで、いぶしていたのはタバコでした。
一説によると、ここでコロンブスは大失策をしてしまいます。
「いったいそれは何だい?」
言葉は通じないからジェスチャーです。
インディアンが手にしているものを指して、そう尋ねました。
すると「トゥバコ」という答え。
以来、これはタバコと呼ばれるようになったわけですが、実はこのとき、インディアンはパイプのことを聞かれたのかと思い、そう答えたのだというのです。
こんな単純な聞き間違いのミスが、間違えた名前を世界中の人たちに広げてしまったのだ、という説です。
しかし、これはありそうでいて、よく考えるとあり得ない話です。
コロンブスはタバコをヨーロッパに持ち帰っているのだから、その後もインディアンたちとそれについて何度も話を交わしたに違いありません。
とすれば、いくら言葉が通じなくても、どんなにそそっかしい人でも、トゥバコがパイプのことだと気付くはずです。
しかし、効き間違いの名前が定着したというほうがタバコらしくていい。
ケムにまくような話ですから。
これと似ているのが、カンガルーの名前の由来。
キャプテン・クックが奇妙な動物を見つけ、原住民に「あれは何という動物だ?」と聞くと「カンガルー」という返事がきました。
実はカンガルーは、「ワシは知らんな」とう意味だったそうです。