クレオパトラのアイメイクはなぜ濃い?

「お化粧を落とすと、女の顔って信じられないくらい違っちゃうの」

クレイグ・ライスの「死体は散歩する」という小説の一節です。

化粧とは文字通り「化ける」という一面を持っています。

メイクアップの中でも、とりわけ化ける可能性が大きいのがアイメイク。

目の縁をちょっと描いただけでガラリとイメージが変わってしまいます。

このメイクアップで思い浮かぶのが、古代エジプトの女性たちです。

壁画に見る彼女たちは、みんな目の周りがくっきりと描かれています。

彼女たちは、コールと呼ばれる黒い粉で眉やまぶた、まつ毛を染め、まぶたの裏側を緑色に染めていたと言われます。

「まぶたの裏側までとは」 と思われるかもしれませんが、これには理由があります。

この緑色の染料は緑青(緑色のサビ)と同じ成分の孔雀石の粉末を溶かしたもので、化粧のためとうよりも、目を守るために用いられていたのです。

アフリカには、目の分泌物を好んでなめるメマトイというハエがいます。

誰彼かまわず目にたかるこのハエたちには、眼病を伝染させる危険があります。

クレオパトラのように宮殿に暮らす人たちにとっても恐ろしく、その攻撃を防ぐには目に防虫剤をつけるしかないというのでまぶたの裏側を染めていたのです。

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