懐石料理と会席料理の違い

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懐石料理の「懐石」とは懐に石を入れるという意味。

これは禅宗のお坊さんが空腹を一時的に忘れるため、温かい石を懐に入れて胃を温めたという故事から来た言葉です。

実際に真似してみれば、空腹感の薄れることがわかります。

つまり、懐石料理はもともとお腹がちょっと温まるくらいの軽い食事だったわけです。

ところが今やグルメの極地、滅多なことでは手に入らない材料を使って、外見だけ簡素に見せた豪華料理の代名詞となっています。

どう豪華かと言うと、四国の四万十川源流の水と称するものを使ってお茶を入れたり、年末にふきのとうを食べて春を演出したり、熊本のコイを生きたまま取り寄せたりするわけです。

客の懐は寂しくなり、店の懐が温まる仕掛けです。

最近では、会席料理と呼んだりもしますが、これは懐石料理と同じ意味です。

あえて言うなら、茶道では会席料理、禅語では懐石料理ということのようですが、門外漢としては、本来の意味での懐石料理にはほのぼのとしたものを感じます。

と言っても、無駄だ贅沢はいただかないようにしたいものです。