なぜ飛行機は緊急着陸で燃料を捨てなくてはいけないの?
映画で、航空機が緊急着陸をするシーンを見たことがあるでしょうか。
現実に忠実に描くなら、その航空機は燃料を減らすためぐるぐると飛行場の上空を回る場面が描かれるでしょう。
胴体着陸するケースでは、燃料が満タンに近いと機体に損傷を受けて燃料に引火するのを防ぐため、燃料を減らさなくてはいけないのです。
このように航空機が、緊急着陸しなければいけない状況になった場合、その時点の総重量が別途定められた最大着陸重量を上回るときは、燃料を消費するか、空の上で燃料を投棄しなくてはいけません。
燃料に引火する恐れだけではなく、着陸時に燃料の重みで機体を破損したり、車軸が折れることがあるからです。
東京~ニューヨーク間を飛行するボーイング747型飛行機なら、1回のフライトでおよそドラム缶1000本分の燃料を積み込んでいます。
着陸時には全航程飛行距離分の燃料消費を計算して減らさなければ危険ということです。
離陸直後の緊急着陸なら海上に出て30分前後、ぐるぐる旋回飛行をして燃料を減らしたり投棄しなければなりません。
ほとんどの飛行機は、翼の先端の管からジェット燃料を投棄します。
ジェット燃料は揮発性が高いので空中で霧になって蒸発してしまうそうです。
しかし、できることなら、そういう状況には遭遇したくないものですね。
[surfing_su_box_ex title="最大着陸重量"]着陸時に許容される最大重量のこと。航空機のタイプごとに異なった値が設計時に設定される。[/surfing_su_box_ex]