チンパンジーが自分で病気を治すために使う薬。

猫が庭や道ばたの草をムシャムシャ食べているのを、見たことはありませんか。

「猫草」と呼ばれるものですが、特定の種類の草でなく、猫がよく食べるいくつかの植物の総称です。

 

猫はしょっちゅう自分の体をなめて毛づくろいをしますが、このときどうしても毛を少しずつ飲み込んでしまいます。

胃の中で毛玉ができて腸まで詰まってしまうかもしれません。

そこで、猫草を食べて胃を刺激することで自ら吐き気を促し、毛がたまらないうちに吐き出すようにしていると考えられています。

 

これと似たような話で、アフリカの一部の地域にすんでいるチンパンジーは、おなかに寄生虫がいて具合が悪いとき、「アスピリア」というキク科の植物の葉をのみ込みます。

この葉には抗生物質が含まれていて、少量でも寄生虫や細菌を駆除する働きがあります。

 

抗生物質は物理的な刺激で壊れやすいところがあるので、噛むと効果が落ちてしまうことも考えられます。

そこで、噛まずにのみ込むという理にかなった服用法を取り入れています。

 

他にもチンパンジーは、いくつかの植物の樹皮や樹液なども薬として使っているようです。

その中には、アフリカ人の人たちが腹痛治療や、寄生虫駆除などに用いているものと同じものもあります。

 

鳥のインコの仲間は、時々土を食べたりします。

毒になる木の実を食べても、土の中に入っている成分が毒を弱くするそうです。

 

漢方薬の材料の一つに「オオバコの葉」があります。

その昔、中国でな者を止めてある付近によく生えていたオオバコは「車前草」と呼ばれていました。

ある時、病気で血尿を出していた馬が、車前草を食べているうちに血尿が止まったといいます。

 

この車前草を使った漢方薬が作り出され、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」と名付けられました。

今日、牛車腎気丸は、尿の病気などに幅広く使われています。

 

動物はいろいろな方法で、自分で薬を見つけ、病気を治したり予防をしています。

人間のほうがそれをヒントにして、治療薬をつくったという例も、少なくないのです。

[surfing_su_box_ex title="抗生物質"]細菌などの病原体を殺したりその活動を抑えたりする薬。もとは微生物を精製していたが、現在は化学合成されている。1928年、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングがアオカビから発見した「ペニシリン」が世界初の抗生物質とされている。[/surfing_su_box_ex]

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