ハエにとって人間の世界はどのくらい快適?

ゴキブリと並んで嫌われ者のハエ。

でも、三億年以上の歴史のあるゴキブリと違って、ハエのほうは新参者。

だから、ハエが地球上で、生活しようとしたときは、どこも別の昆虫でいっぱい。

その中に割り込むのは、ほかの種類がやっていないことをやるしかありませんでした。

その一つが、幼虫の「どこでも潜り込んでいく」という性質。

そこで成虫は、木の葉の上、果実、動物の死骸や糞など、幼虫が潜り込みやすい柔らかい場所を選んでタマゴを産みつけたのです。

どれも、栄養の豊かなものばかり。

その中に潜っている限りは安全なため、幼虫の生存率は高く、どんどん成虫が誕生していったのです。

ただし、成虫は空中を飛び回るため、サナギになるとき、成虫が羽化しやすいように乾いたところに出なくてはなりません。

この這い出す時期と、サナギの時期は、トリやカエルに襲われる危険があります。

成虫も、よく発達した筋肉を持つ羽があるものの、トリやカマキリに狙われ、クモの巣にかかったりと、幼虫時代のように安全とはいえません。

そう考えると、食べ物が豊富で、怖い天敵もいない人間世界は居心地抜群。

こうして、人間の住環境へ次第に進出することになったのです。

といっても、人間に害を与えるハエは少数で、しかも大部分は、人間が住むところとは別の環境で生きているのです。