福井県に地元出身の社長が多いワケは?

民間の調査機関、帝国データバンクが2016年に調査した各県社長出身地別輩出率(人口10万人当たりの社長輩出数)では、福井県がなんと34年連続で1位になっています。

どうして福井県に地元生まれの社長がそんなに多いのかが、時々話題になります。

 

もちろん社長が多いといっても、人口当たりの数であり、社長の絶対数は東京がダントツに多いのです。

それに東京は何千人、何万人の従業員を抱えた社長が多いのに対して、福井県は家業会社が多いのです。

 

たとえば福井県鯖江市は、全国90パーセント以上のシェアを占める眼鏡フレームの産地として有名ですが、これも家業会社が支えてきました。

 

繊維産業や電子部品製造などの分野でも、家業会社が早くから発達してきました。

地元の福井工業大学と副大学の出身者が社長就任数の1、2位を争っているほどで、地場定着型の傾向が強いのです。

 

福井人の県民性を物語るものの一つとして「越前詐欺」という言葉があります。

これは人をだましたりするのが上手という意味ではなく、商才に長けた人が多いことを示す言葉です。

福井=越前には江戸時代、大阪と北海道間を物資輸送した「北前船交易」の立ち寄り港が、三国湊、河野、敦賀と3つもありました。

 

日本海に沿って東西に長くのびる地形が幸いしたのでしょう。

また、京都、大阪という大商圏が近く、商売上手の近江商人で知られる滋賀県もすぐお隣です。

昔から起業しやすい環境にあり、またそのためのノウハウも手近にあったと想像されます。

「将来は一国一城の主に」と目指す人は、福井県で修行するとよいかもしれませんね。

[su_box title="北前船"]

江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した北海道と関西圏を結ぶ廻船。

現在の商船会社のように商品を預かって運ぶのではなく、船主自体が商品を売買して利益を上げるスタイルが多かった。

北陸以北の日本海沿岸諸港から下関、瀬戸内海を経て大阪に向かう航路を往復した。

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