春に眠くなるのは「冬眠」のなごり
春になると、こっくり、こっくりと舟を漕ぐ人の姿が目立ちます。
春は寒さも緩み、のどかで、うたた寝には最高の季節。
ついまぶたが重くなります。
しかし、春にうたた寝が多いのは、気候がいいことだけが理由ではないようです。
一説によると、それは、冬眠から目覚めたために生じる反動なのだそうです。
冬眠といえば、クマやヘビを思い出します。
彼らは穴に閉じこもり、じっと眠ったままで冬を越します。
しかし、私たち人間は冬の間も起きたままで、せっせと働いたり勉強したりしています。
それが冬眠の反動であるとは、どういうわけでしょうか。
実をいうと、私たち人間も冬眠こそしませんが、体のほうは冬眠する体勢に入っているのです。
たとえば、冬になると人間の毛細血管は、他の季節のときに比べて縮まります。
これはエネルギーの消費を抑え、蓄えることで、冬眠に備えようとするものです。
そして、春が来るとその態勢が解除され、毛細血管が全開になり、エネルギーがどんどん供給消費されるようになります。
その疲労のために、春先は特にい眠りしがちになるそうです。
この私たちの体の冬眠現象は、ヒトに進化するずっと以前の、まだ冬眠の習性があった頃の名残といわれています。