高地では子どもが生まれにくい
日本には4,000mを超える高山がないためか、高山病はあまり身近な症状とは言えないのかもしれません。
高山病は酸素不足から起こるもので、主な症状は、頭痛、めまい、息切れなど。
ひどくなると意識障害までもたらします。
また、長く高地に暮らせば、不妊症をももたらすのです。
こういう話があります。
16世紀の半ば頃、アメリカ大陸に渡ったスペイン人の一部が、高度4000 M のポトシという土地に入植した時のことです。
開拓民にとっては人で増やすという意味でも、子供は大切です。
ところが入植後、全く子供が生まれなくなってしまいました。
そして、やっと最初の子が誕生したのが、 なんと入植して53年も経ってからだったというのです。
原因として考えられたのは、酸素の減少や気圧の低さが、生殖に関係するホルモンの分泌を減少させるなど生殖機能が低下すること、それに、女性の胎盤が高地で胎児を育てられ作るるように作られていないために流産や死産になる、という点です。
4000m以上の環境に定着するには、半世紀以上もの歳月が必要だったのです。
なお日本人は、 高度1500mくらいまでは、身体に大きな変化が見られませんが、それ以上になると、1000mごとに、体に取り込める酸素の最大量が平均10%ほど減少するといわれています。