イスラム教圏の女性が顔を隠す本当の理由
アラブをはじめ、イスラム教圏の国々の女性は、いつも体を寸分の隙もなく衣服で覆い、カフィエという四角い布を頭から肩まですっぽりと被って顔を隠します。
イスラム教には、女性は夫以外の前では素肌や顔をさらしてはいけないという戒律があり、彼女たちはこれをしっかり守って、外に出ているときだけでなく家の中にいるときも、ああして顔を隠しているのだそうです。
アラブの暑さは、文字通り「脳味噌を焼かれるような炎暑」(フリーマントル『革命家』)です。
そんな中で、すっぽりと全身を布で覆っていなければならないとは、ちょっと厳しすぎる戒律のように思えます。
ところが、イスラム教の聖典である『コーラン』には「顔を隠せ」などとは書かれていないのです。
ただ「美しいところは他人に見せないように」「胸には覆いをつけるように」とあるだけ。
それがどうしてああいう厳しいものになり、その上、誰もが逆らわずにきちんと守っているのでしょうか。
「美しいところといったら、私の場合は顔だわ」という女性の自尊心がそうさせてるのでは・・・と穿った見方もできますが、そうではないのです。
カフィエを被ったほうが涼しいから、あのようにしているのです。
衣服は、衣服内気候といって、外気とは違う温度と湿度の層をつくり、防寒の役を果たしてくれます。
しかし、それは寒い国でのこと。
炎暑の砂漠地帯では反対に、暑さをしのぐ働きをしてくれるわけです。
同時に、日焼けからも身を守ってくれます。
まさに、「所変われば品変わる」
厳しい戒律と思えたのは、生活の知恵から生まれた習慣だったのです。