顔を赤く塗るのが化粧のルーツ

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化粧といえば、どうしても”女性の専売特許”というイメージがしてしまいます。

ところが、化粧のルーツは、美しく化けるために行われたのでもなければ、女性だけのものでもありません。

日本で化粧が行われるようになったのは、4~6世紀の古墳時代だといわれています。

その頃の埴輪が、男女ともに化粧をしていたことを、はっきりと物語っているのです。

ところが、その化粧は現代のものとはまるで異なったものでした。

埴輪達にはどれも、顔に赤い色の土が塗られていたのです。

なぜ赤だったのかは、「日本書紀」の、ホノスソリノミコトが弟に謝罪するときに赤色の土を顔や掌(手のひら)に塗った、という記述が説明しています。

つまり化粧は、恭順や服従を示すため顔を赤く塗ったのが始まりだったわけです。

面白いことに、こうして顔や体を赤く塗ったのは日本の古代人だけではなく、世界共通の風習だったらしいのです。

ヨーロッパの旧石器時代末の遺跡にも、当時の人たちが皮膚を赤く塗ったことを証づける形跡が発見されています。

これは日本の場合と違って、災いよけのためになされたものだろうと考えられているのです。

口紅も同じで、古代人は口から災いが入り込むと信じていて、それをよけるために、口の周りを赤く塗ったのが始まりとされています。

「昔の化粧というのは、まず何をおいても 顔に白粉を白く塗ることでした」

宇野千代さんは、こう「私のお化粧人生史」に書いていますが、白く化粧をするようになったのは7世紀に入ってからのことです。