サルの社会にも売春がある
集団生活をするサルたちの間では、ボスの権力は人間が想像する以上に強大なもの。
何頭かいるボスの中でも序列が決まっていて、第二ボス以下は、自分より位の高いボスの前に出るとオドオドしてしまうというのですから、そのタテ社会はそうとうに厳しいに違いありません。
ボスの特権といえば、まず、いちばんおいしいエサを食べられること。
手下が集めてきたものから、栄養も味もよいものを選んで、あるいは強奪してたっぷりと食べます。
第二ボス以下は、序列に従って残り物にありつくしか手がありません。
もう一つの特権は、片っ端からメスを手に入れられること。
かなり横暴なやり口のことも多く、ある動物園ではボスの交配の半数以上が強姦、そのうち半数のメスがケガをしたことが確認されています。
しかしメスにとっても、ボスに正妻になれれば群れの中で立場が強くなるという見返りはあります。
そこで現れたのが、力ずくで犯される前に自分から媚を打って正妻の座を得ようとするメス。
動物学者の間では「サルの売春」と呼ばれるこの行動は、若いメスザルが第一ボスにまめに接近するものです。
女であることを利用して地位を得ようとする売春ザルたち。
腕力主義の男社会であるサルの群れの中で、何とも功利的でしたたかな生き方です。