イスラム教徒はメッカの真裏ではどこを向いて礼拝する?

イスラム教徒には「サラート」といわれる習慣があります。

1日5回、アラビア半島のメッカに向かっての礼拝です。

正確には、メッカにあるカアバ聖殿に向かって礼拝します。

 

カアバは縦横約10メートル、高さ約15メートルの立方体の建物で、黒い布に包まれ、その一部に古い神殿の礎石だったという黒曜石の黒石がはめこまれています。

 

もとは神に命じられて、人類の始祖アダムとハウワー(イヴ)によって、神の玉座としてつくられましたが、ノアの大洪水などで失われました。

その場所をイスラム教の開祖ムハンマドが神の啓示によって知り、いまのカアバ聖殿になったと伝えられています。

キリスト教徒と、イスラム教徒、双方の起源に関わる場所がメッカのカアバ聖殿ということになります。

 

6~7世紀のアラビアの商人だったムハンマドによって開かれたイスラム教は、異民族とも商取引する上で欠かせない信頼や契約を「アッラーの御名において」可能にし、急速に拡大しました。

 

そして世界のどこにいても、民族の別を超えてメッカに向かって拝礼します。

イスラム教の精神の共同体ウンマの結節点がメッカで、その方角を示しているのが全世界のモスクです。

 

モスクには、キリスト教会のイエス・キリスト像や仏教寺院の仏像のようなものはありません。

そこは人々が集まって礼拝する礼拝堂で、ホールの正面にメッカの方角を示す窓のようなものがあります。

また、モスクに行かなくても、どこでもメッカの方角に礼拝をすればいいのです。

 

メッカは北緯21.42度、東経39.82度の位置にあります。

しかし、それでメッカの方角が分かるわけではありません。

地球は球体なので、直線で考えると、方角がずれてしまいます。

そこでメッカを中心に描いたキブラという地図がつくられています。

最近では、スマホのアプリで知ることができます。

 

ところが、古いモスクはメッカを向いていないものもあります。

それはそれで、かまいません。

地球上でメッカと真反対の位置にいるときも、お好きなほうでかまいません。

というのは、宇宙飛行士はどこを向いて礼拝するのかが問題になったとき、どの方角でもよいとイスラム法学者の会議で決められました。

礼拝するときの気持ちがメッカに向かっていればよい、とうことでです。

[surfing_su_box_ex title="ノアの大洪水"]旧約聖書の「創世記」(6~9章)に登場する物語。創造主である神が、古代の邪悪な人々を大洪水によって滅ぼしたときに、方舟にのったノアとその家族、および動物たちだけが生き延びた、というもの。[/surfing_su_box_ex]

[surfing_su_box_ex title="モスク"](Mosque)イスラム教の礼拝堂のこと。イスラム寺院。[/surfing_su_box_ex]

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