ハゲワシとコンドルは親戚ではない?
東京の上野動物園に行ったことのある人の中には、猛禽類の檻の「コンドルとハゲワシは親戚同士ではない」という説明書きに気づかれた方もいるのでないでしょうか。
そこには「コンドルはコウノトリに近い系統であり、タカ科のハゲワシとはルーツが違う」とあります。(2016年10月現在)
この「縁がない」とされる二者が似た姿をしているのは、ともに大型動物の死体を漁って食べるという食生活が共通しているからだと説明されています。
すなわち、死体に頭を突っ込んで食べるとなると、浸出液や血液などがくっついて汚れますが、それによって不衛生にならないように、ともに頭と首は羽毛のない姿に進化したということであります。
コンドルの足はコウノトリのように歩くことに適した形になっています。
猛禽類のタカやワシは獲物を攻撃したりがっちりつかんだりするのに向いた形になっていて、コンドルの足とは異なっています。
また、猛禽類は一般的に雄が雌より大きいのに対して、コンドルはその反対です。
そんなところから、古くからコンドルの仲間は真の猛禽類ではなく、コウノトリの近縁なのではないかと考えられていたのです。
20世紀末になっても遺伝子解析によって、やはりコンドルはコウノトリの近縁であるとされていました。
しかし、21世紀に入っての分子系統では、こうしたコウノトリ科とコンドル科の間で類縁関係がないという考え方は完全に否定されることになりました。
コンドル科はタカ目の一科とされ、由緒正しい猛禽類の仲間入りをしたのです。
上野動物園の説明書きは、もう書き直されているのでしょうか。
[surfing_su_box_ex title="猛禽類"]ワシやタカ、ハヤブサ、ハゲワシ、コンドル、フクロウなど、鋭い爪とくちばしを持ち、他の動物を捕食する習性のある肉食鳥類の総称。[/surfing_su_box_ex]