五輪女子競技の初優勝者はメダルをもらっていない?
今日、オリンピックに参加する選手の男女比はほぼ5対5になりました。
ほとんどの競技に女子が参加できるようになったことが、その理由です。
しかし、過去を振り返ると第1回アテネ大会(1896年)は男子のみで行われ、第2回パリ大会(1900年)から女子が参加できるようになりました。
この大会には19カ国1066人が参加しましたが、女子はわずか12人しか参加していません。
それというのも、女子競技はテニスとゴルフのみだったからです。
女子テニスのシングルとミックスダブルスで優勝したのは、イギリス人のシャーロット・クーパー(1870~1966年)でした。
クーパーはウィンブルドン大会で 5回も優勝したトッププレーヤーです。
女子ゴルフには6人の選手が参加しました。
そして、優勝したのはアメリカのマーガレット・アボット(1875~1955年)でした。
アボットはパリで絵画の勉強していた母と一緒に“飛び入り参加”したといいます。
母娘が同じ大会同じ競技に参加したのは、後にも先にもこの一度きりです。
ただ、この時のオリンピックはパリ万国博覧会の付属大会という位置づけだったため、大会運営が混乱をきたしていました。
そのため、メダルが授与されたのは陸上競技のみでした。
当然、クーパーもアボットも優勝したのに金メダルをもらっていません。
クーパーはその後も第一線のテニスプレーヤーとして活躍し、偉大な功績を残しました。
一方のアボットは、つい最近までどんな人物なのか知られていませんでした。
フロリダ大学の教授が長年かけて探し出したアボットの息子は、母親がオリンピックで優勝したことを知らなかったといいます。
おそらく、アボット自身も自分が女子ではじめてのオリンピックチャンピオンだという認識がなかったでしょう。
しかし、金メダルそのものはもらっていなくても、前述のクーパーとともに、紛れもなく「オリンピック女子金メダリスト第1号」だったのです。