霊長類だけ目が正面についている理由
指紋と同じく、霊長類に共通している大きな特徴が、もう一つあります。
それは目です。
ほかの動物の頭は、どちらかというと正面が尖った格好をしていて、目は側面に近いところにあり、それぞれ違う方向を向いています。
ところが霊長類の頭は正面が平たくて目が前方にあり、両目とも同じ方向を向ています。
これも、指紋と同じ理由からです。
もし両目がそっぽを向いていたら、ものをつかもうとするとき、どちらか一方の目に頼ることになります。
片目をつぶってものをつかんでみてください。
やりにくいはずです。
小さなものなど、手先が狂ってつかみそこなってしまいます。
森のサルも同じです。
一つの目だけでは、枝をつかもうと手を伸ばしても空を切ってしまうし、木の実をつかみ取ることもできません。
これでは死活問題です。
だから自然と、霊長類の目は正面に二つ寄ることになったのです。
これは三角測量の原理と同じで、二点から一点に焦点を合わせることで距離を正確に知るため、つまり、ものをつかみやすくするためです。
反対にヒョウやライオンなどの目が側面にあるのは、広い角度が見渡せて獲物の状態が分かりやすいからです。
また、シカなどの草食動物の場合は、襲ってくる敵を発見しやすいようにやはり、広い角度が見えるようになっているのです。
手を使わないで、エサを食べるにも支障はありませんし、嗅覚という武器があります。
目は、広く周囲のあやしげな動きを探りながら、エサを鼻で探って食べるのに都合のいいようにできているわけです。