野生のアライグマはエサを洗わない
動物園の中でも、愛嬌があって特に人気があるのがアライグマ。
この名前が、食事前にエサを洗う習慣があることから名づけられたことはよく知られています。
ところが、その名前の由来、実は大間違いだったのです。
あのようにえさを水に入れ、前脚で洗うかっこうをするのは、動物園で飼われいるもの、それも空腹を感じていないときだけに見られる行動で、野生のアライグマにはまったくそういう習性がないことがわかっているのです。
考えてみればそれも当然で、食べものをいちいちのんびりと洗っていたのでは、厳しい大自然の中で生き抜いていけません。
せっかくの獲物を奪われてしまう恐れもあるし、第一、自分の身が危険です。
では、なぜ動物園にくると、ああいう動作をし始めるのでしょうか。
これは一種の遊びではないか、と考えられています。
自分が安全な場所にいることを知っていて、しかもおなかは満たされている、それがエサをもてあそぶゆとりを与えているのだ、というのです。
アライグマは川岸に棲む雑食性の動物ですが、特に魚が大好物で、川辺で魚を捕らえている姿がよく見られるそうです。
そのときの喜びがしみついていて、それがエサ洗いの遊びをさせているのかもしれません。