技巧と知性を集めたサラダのレシピ

f:id:itomaxyz:20200928224757j:plain サラダは、市販のドレッシングをかけることもありますが、シンプルに生野菜を酢と油で和えることもあります。

なぜ酢と油で和えるようになったのかは、やはり「おいしいから」だったのでしょうけれど、これが、科学的に見ても野菜に含まれているビタミンを逃さない最良の食べ方なのです。

野菜には、空気にふれるとビタミンCを破壊するアスコルビナーゼという酵素が含まれています。

ですから、野菜を切ったまま放置しておけば、その切り口からどんどんビタミンCが破壊されてしまいます。

ところが酢には、この酵素の作用を抑えてビタミンCの破壊を防ぐ働きがあります。

その上、切り口に油がつけば直接空気にふれることもありません。

また、油はビタミンAの吸収も助けます。

アスコルビナーゼの性質がわかっていたわけでもないのに、偶然とはいえ何ともうまい調理法があったものです。

生の野菜を食べるサラダは、西洋料理の中ではあまり手を加えない料理に属しますが、そのつくり方にこだわった人は大勢います。

『三銃士』の著者、アレクサンドル・デュマもその一人。

かれは「サラダこそ、技巧と知性の表現の場」と主張し、こだわりのサラダをつくっていたといいます。

では、デュマの自慢のサラダをここで紹介してみましょう

野菜は、レタス、ビーツ(赤カブ)、セロリ、トリュフ、ゆでたジャガイモなどが主要な材料です。

まず、ゆでタマゴの黄身をボウルに入れてほぐし、油を入れてペースト状になるまで練ります。

そこに、香草のチャービル、ほぐしたツナとアンチョビ、からし、大豆油、刻んだピクルスと刻んだゆでタマゴの白身を入れ、手に入る限り最上の酢で薄めます。

そこに先ほどの野菜を入れ、召使に和えさせます。

召使が和えている間にデュマは高いところからパプリカを一つまみ振りかけます。

ほとんどの材料が簡単に手に入るものばかりです。

デュマの「技巧と知性」とはどんなものか、試してみてはいかがでしょうか。