なぜ関東は「濃い味」で関西は「薄味」

何気なく食べているものでも、知らないことは意外と多い。

たとえば、うどん。

関東のうどんの汁が黒くて濃く、関西の汁はあっさりしていることがよく知られていますが、この違いはどこからきたのでしょうか。

今でこそ東京は日本を代表する都会となっていますが、徳川家康が幕府を開く以前は、京都からはるかに離れた田舎です。

田舎にいた人たちのほとんどは農民ですから、毎日激しい労働にあけくれます。

東武士といわれる人たちもいましたが、彼らも平時は農業に従事していました。

肉体労働に従事する人は多量の汗をかくため、食事の中で塩分を補給しようとします。

この伝統が定着して、関東では濃いしょう油味が広まったわけです。

これに対して関西は、関東に比べて知的階級が食をはじめとした文化をリードする傾向にあったため、労働者向けの濃い味ではなく、薄味が主流になったわけです。

京に出てきた織田信長が、料理の味が薄いのに激怒したのを見て、京の料理人たちが「田舎もの」と陰で嘲笑したという逸話も残っています。