ハゲワシの頭は何のためにハゲているのか?
ハゲワシやコンドルなどは不気味な動物です。
どうやって嗅ぎつけるのか、獲物を食べているところにいつの間にか集まっていて、あの鋭い目でじっと隙をうかがっている姿。
それだけならまだしも、むさぼるように死骸に群がり食らう姿は、まさにおぞましいの一言につきます。
チベットや西インドには、鳥葬といって、死者の屍を丘の上などに運んでこれらのトリたちに始末させる風習があります。
これは、食物連鎖の摂理にはかなっているのかもしれませんが、やはり私たちは不快感がぬぐえません。
ところで不思議なのは、これらのトリたちの頭がハゲていることです。
これは、死骸を始末する自然界の葬儀屋だからなのではなく、彼らなりの生き延びるための知恵なのです。
彼らの食べ方を見ればわかります。
表面をつついたりかじったりするのではなく、死骸の破れたところから首を突っ込んで中身を食らうのです。
もし、羽毛があったのでは、食べるときに不都合です。
首を引き出すときに引っかかるし、血や肉が付着して汚れてしまいます。
そこで「不要なものはいらず」の進化の法則が作用して、あのかっこうになったわけです。
その証拠に、同じハゲといっても、トリによってハゲかたに違いがあります。
たとえば、コンドルやエイロエリワシは、頭だけでなく、首の上半分までハゲていますが、ヒメコンドルとクロコンドルは頭全部、それがハゲワシになると側頭部や後頭部には羽毛があり、ハゲているのは頭から頭頂部にかけてのみ、というようにさまざま。
ハゲた部分が多いトリは、それだけ深く首を突っ込むからで、その度合いに応じてハゲかたも違っているのです。