なぜ「木枯らし1号」は、東京と大阪にしか吹かない?
秋の終わりになって北の方からはじめて吹いてくる風速毎秒8メートル以上の強い風を「木枯らし1号」と呼びます。
ユーラシア大陸から日本に向かって吹く冬の季節風は日本海上で水分をたっぷり含んでいます。
日本列島の真ん中では山が続くため、日本海側で時雨や初雪を降らせて水分がなくなります。
そして、山を越えた太平洋側では乾いた風となって吹き抜けるのが木枯らしです。
太平洋側ならどこでも木枯らし1号は吹くはずなのに、実際は「木枯らし1号が吹きました。」と発表できるのは、全国でも東京の気象庁と大阪管区気象台の2カ所だけと決まっています。
東京地方は9月半ばから11月末までの時期に、西北西から北の風向で吹いてくるとされ、近畿地方は霜降(10月23、24日頃)から冬至(12月22日頃)までの時期に北寄りの風向で吹いてくるとされています。
このように、それぞれ異なるタイプの木枯らしの基準に合った風が吹くこと、人口が多いこと、そこに住む人々の話題に上ることなどから、東京地方と近畿地方で木枯らし1号を定義するようになり、それがそのまま現在にいたっているというわけです。
ちなみに、2月に立春過ぎに、今度は東南東の方から毎秒8メートル以上の暖かい強風がはじめて吹くと「春一番」と呼びます。
こちらは東京と大阪だけでなく、気象庁は吹いた地域を発表します。
たとえば「広島で春一番が吹きました」というようにです。
[surfing_su_box_ex title="木枯らし"]日本の太平洋側地域において晩秋から初冬の間に吹く風速8メートル以上の北寄りの風。 冬型の気圧配置になったことを示す現象で、本格的な冬の到来を告げる風物詩。 [/surfing_su_box_ex]
[surfing_su_box_ex title="春一番"]春先に初めて吹く強い南寄りの風。 気象庁では「立春から春分までの間に、広い範囲で初めて吹く、暖かく強い南寄りの風」としている。[/surfing_su_box_ex]