発明王エジソンはADHDだった?
世界にその名を知られる発明家トーマス・エジソンですが、小学校の時は大変な問題児でした。
粘土を使って「1+1=2」を教えようとする教師に対して、「1個の粘土と1個の粘土をくっつけると1個にしかならないよ」と言って困らせたことがあったのです。
教師から「お前の頭は腐っている」とののしられたといいます。
また、「なぜ物は燃えるのか」を知りたくて、わらを燃やしていたら、納屋に延焼してボヤ騒ぎを起こしたというエピソードも有名です。
こんな事件を立て続けに起こしたことから、入学からわずか3カ月で放校処分を受けてしまいました。
父サミュエルからも見放されてしまったトーマスの唯一の味方が母ナンシーでした。
彼女は、学校へ行けなくなってしまったトーマスの教師代わりを務めるようになります。
その教育は徹底したもので、トーマスが理解できるまで一緒になって考えたり、また興味を持ったことがあれば、気がすむまで自由に調べさせるようにしました。
その結果、母がそなえていたあらゆる知識がトーマスに伝えられ、その好奇心を満足させ、発明王になる基礎がつくられていったのです。
現在、精神医学の専門家の多くは、「エジソンは、ADHDだったのではないか」と考えています。
一つのことに集中できずに最後まで成し遂げられないというのが、この障害の特徴です。
しかし、エジソンは発明家になってからも、一つのプロジェクトでつまずくと、すぐに次のことにチャレンジするということがよくありました。
そうした試行傾向があったからこそ、エジソンは生涯で1300もの発明を重ねることができたのかもしれません。
母親という最大の理解者に恵まれたことで、エジソンは障害のために悲観的になることなく、その好奇心旺盛な精神を強みとして、精力的な活動を続けることができました。
理解者の援護に恵まれれば、たとえADHDの症状があっても成功できることを、エジソンは証明したのです。
[surfing_su_box_ex title="ADHD"](Attention Deficit Hyperactivity Disorder)発達障害の一つで、不注意(注意障害)、多動性(過活動)、衝動性が主な症状の特徴。 エジソンのほかにADHD疾患を持っていたと思われる歴史上の偉人に、ベンジャミン・フランクリン(18世紀のアメリカの政治家、外交官、著述家、物理学者、気象学者)、ジョン・F・ケネディ(第35代アメリカ合衆国大統領)、坂本龍馬(幕末の志士)などがいる。[/surfing_su_box_ex]