角が小さなカブトムシの生き方
大きく立派な角をもったカブトムシやクワガタムシには、子どもだけでなく、大人の男性にも多くの愛好家がいます。
ところで、カブトムシにはどうしてあんなに大きな角がついているのでしょうか。
これについては、角は穴を掘るための道具であるとか、捕食者から身を守るためとか、何の機能もない単なるコブであるなど、いろいろな説があります。
昆虫学者のエバーハードの研究によると、カブトムシの角は、えさやメスをめぐって行われる同種間の争いで、武器として使われることが明らかになりました。
この考えでいくと、角が大きいほど相手をうまく投げ飛ばせるわけですから、長い長い進化の過程で、小さい角は自然に淘汰されるはずです。
ところが、エバーハードが調べたところ、1つのカブトムシの集団内に、大きい角と小さい角の2つのグループが存在していました。
では、ケンカの弱い小さい角のカブトムシは、どうやって生き残れたのでしょうか。
実は、小さい角のカブトムシは、大きい角のカブトムシよりも早く羽化していたのです。
つまり、大きい角のグループがサナギでいる間に、小さい角のグループはちゃっかりとメスを自分の巣に招き入れ、交尾を済ませていたというわけです。