産みの苦しみは今と昔ではちがう

「いくら科学や文明が進んでも、お産の苦しみは昔と変わらない」と、ある母親が言っていました。

確かに、便利で苦労のない生活ができるようになった現代にあって、産みの苦しみは、かなり耐えがたいもの。

それに、昔に比べれば人の忍耐力が落ちているから苦しみは軽減されない、ともいえるのかもしれません。

しかし、それだけでなく、出産の姿勢で痛みはかなり違ってくるようです。

今は病院で出産する人が大半ですが、病院の分娩台は、医者が作業しやすいような形につくられたものといいます。

分娩台で横になった姿勢では、腹筋の力を使って赤ちゃんを押し出そうとしても、うまく力が入りません。

昔は、座椅子を使ったり、産台の代わりに枕わらという、わらの束を左右に置いて後ろに布団を高く積み、そこに寄りかかったりして出産しました。

座った妊婦を産婆が後ろから抱きかかえることも多かったようです。

また、天井からつるした綱につかまってしゃがんで出産したり、両手を床に置いて立てひざでふんばったりしたようです。

このような出産方法は座産(ざさん)と呼ばれ、今でも世界の一部で行われています。

重力が働いて腹筋に力が入りやすいので分娩所要時間が短く、横になってするお産よりも痛みが少ないのです。

最近になって、欧米をはじめ日本でも、この座産が見直されてきました。

また、水中でする遺産も試みられています。

羊水の中にいる胎児にとっては、水中に生み落とされても、ごく短い時間なら呼吸障害を起こすことはありませんし、浮力がつくので産婦もリラックスして楽だということです。

出産というのはあくまでも自然の営みなのですから、いくら科学が進んでも、産婦が楽な姿勢でするほうがいいということのようです。

人間の声は、いくら練習しても低音域に広がらない。

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