大根おろしは「ゆっくり」おろすとおいしくなる?
長野県には「ねずみ大根」と呼ばれる辛味大根があります。
小さめのサイズで、形がねずみに似ていることから、この名がつきました。
これをおろすと、強烈な辛味を発し、主にそばやうどんの薬味として使われます。
大根おろしの辛味成分である「イソチオシアネート」は、実は大根の中にはもともと存在していません。
では、どうやってこの辛味成分が生まれるのでしょう。
大根をおろすと繊維が壊れます。
これによってイソチオシアネートが生成されます。
このイソチオシアネートを生み出す成分は、大根の先端部分に多く含まれ、葉に近い根元の部分の10倍にもなります。
そのため、大根おろしは、先端の部分を使うことが多いのです。
ところで、この大根のおろし方で辛味が変わることをご存知でしょうか。
輪切りにした大根の切断面をおろし金に直角に当て、「ゴシ、ゴシ、ゴシ!」と力を入れて一気にすりおろすのです。
こうすることで大根の繊維が効率よく壊れて、辛味が増します。
「怒りながら大根をおろすと辛くなる」
という昔からの言い伝えは、なるほど、理にかなっているのかもしれません。
では、昨今流行っている「雪鍋」のように辛くない大根おろしを使う料理のときは、どうすればいいのでしょうか。
それは、先ほどと逆で大根の繊維を壊さないようにおろせがいいのです。
ここで「怒る」のは禁物です。
大根の根元に近い部分を使い、繊維方向にゆっくり「穏やか」にすりおろします。
こうすると、辛くない、むしろ甘い大根おろしができ上るというわけです。
アブラナ科の野菜などに含まれる「シニグリン」という物質が「ミロシナーゼ」と呼ばれる酵素によって分化された結果、生成された辛味成分。
体内の抗酸化力を高めてがん細胞ができるのを抑えるなどの働きや殺菌作用があるといわれる。
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