病は気から、というのはどこまで本当?

会社で整理解雇を通達され胃潰瘍になったとか、とくに女性で、いやな男性に言い寄られた途端に全身にじんましんができたという話を聞いたことがあります。

「病は気から」の例といえるでしょう。

 

病院の診療科の一つに「心療内科」というのがあります。

精神的に受けたダメージが身体症状に現れることがあり、心に働きかけることでその病気を治そうとする専門の科です。

「病は気から」ということは、現代医学でも認められているということです。

 

「病は気から」の症状の典型が、慢性腰痛です。

痛みが3ヶ月以上続くものを慢性腰痛といいます。

世の中の慢性腰痛の8割以上は原因が分からず、病名を確定することができません。

そんなわけで慢性腰痛の発症には、心理的なストレスなどの「心」が関係しているといわれるようになってきました。

 

「心」が原因なので、いくらX線MRIで調べても「器質的(目に見える)」な以上は見つかりません。

そのため、患者はますます不安になり、それがストレスになって、もっと痛くなり、もっと症状が長びいてしまうという悪循環ができあがるのです。

 

こうした「心」が原因になって現れていると考えられる症状に対しては、治療面でも「心」をサポートしていくように図っていきます。

 

例えばまったく薬効のない砂糖の粒でも、よく効く薬と信じて飲ませると治療効果が表れるプラセボ効果というのが知られています。

だから医師は薬を処方するとき「この薬はとてもよく効きますよ」とおおげさに言ったりします。

 

アメリカの心理学者の報告では、心臓の冠動脈バイパス手術を受けた場合、物事を前向きに考えられる楽観的な患者は、心配度の強い悲観的な患者よりも回復が早く、一定期間内に命を落とす確率が半分くらいしかなかったとされています。

こうした経験から、医療者は患者の闘病に対して「前向きに治療に取り組みましょうね」と呼びかけることが多いのです。

 

北海道大学の村上正晃教授(免疫学)らおチームがマウスを使った実験で、世界で初めてストレスが病気や突然死を引き起こすメカニズムの解明に成功しました。

マウスを睡眠不足にさせたり、床を湿らしたりするなどの慢性的なストレスを与えた上で、病原性の免疫細胞を血管に入れたグループと、ストレスを与えるだけのグループの2つに分けました。

 

すると、免疫細胞を血管に入れたマウスの約7割は1週間ほどで突然死をし、ストレスを与えただけのマウスは死にませんでした。

すなわち、病原性の免疫細胞があると、ストレへの反応が強くなり、脳内に炎症ができる可能性が示されたのです。

[surfing_su_box_ex title="プラセボ"]有効成分を含まない偽薬(ぎやく)のこと。「プラセボ効果」とは、偽薬でも患者が薬だと信じることによって何らかの改善が見られることを指す。[/surfing_su_box_ex]

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