卵はゆでるよりも生のままのほうが日持ちする?
「生たまご醤油の雲にきみの月」
江戸時代、卵かけご飯が大好きだった江戸っ子の川柳です。
卵をお茶わんに割って入れ、醤油を垂らし、かき混ぜる前の一瞬、満月と雲をめでる―粋ですね。
当時は、卵1個20文(現在の価値で500円くらい)の高級品でした。
そりゃあ、風流にもなりますよね。
そして近年、TKG(卵かけご飯)が大ブームだそうです。
各地に専門店が誕生し、中には行列ができる店まであるといます。
そうなると、卵のおいしさにもこだわるようになり、1個500円のブランド卵まで登場するありさまです。
生卵というからには、鮮度が命です。
ところが卵の賞味期限は、冷蔵保存で夏16日、春秋25日、冬57日と驚くほど長いです。
賞味期限内だったら、生で食べられるのです。
また賞味期限切れでも、焼いたり、煮たりと加熱すれば十分安全に食べられます。
なぜ、卵はこれほど長持ちするのでしょうか。
それは卵白に含まれるリゾチームという酵素によって卵が守られており、サルモネラ菌や雑菌の増殖を防ぐからです。
ところで、賞味期限が切れそうになった卵を、ゆで卵にして保存する人も多いといいます。
しかし、これはNGです。
卵は熱を加えるとリゾチームが壊れてしまいます。
そうすると、日持ちしなくなるのです。
ゆで卵は冷蔵庫に入れておいても、3日ほどしか持ちません。
熱を加えるより生の方が長持ちする食べ物は卵くらいかもしれません。
賞味期限切れでも、決して捨てないで。
[surfing_su_box_ex title="リゾチーム"]卵白や動物の分泌液に多く含まれている酵素。鳥類の卵に侵入する微生物を溶かして感染から守る。また人間や他の動物の目や口、母乳などが微生物に感染するのを防ぐ役割をしている。[/surfing_su_box_ex]