温室は植物にとっては厳しい環境だった!

f:id:itomaxyz:20200928225738j:plain 「温室育ち」というと、過保護に育てられたもやしっ子を思い起こさせますが、実際の温室は、意外にも植物にとって厳しい環境にあるようです。

その理由は、二酸化炭素不足。

夜から朝にかけては、植物自らが二酸化炭素を出して、温室の中の二酸化炭素は500ppmを超えますが、光合成が始まると、あっという間に消費されて300ppmまで下がってしまうのです。

通常の空気に含まれる二酸化炭素は350ppmで、これはそれよりも少ない数字。

花も咲かなければ葉も枯れてしまうほどの数値です。

風が弱いと、温室の窓を開けても、光合成ができない、100ppmまで下がってしうこともあります。

農家の人も、水や肥料の心配はしても、二酸化炭素が不足するなど思いもしなかったようです。

オイルショック以来、省エネのために温室の密閉度を上げるため、温室作物に障害が続出したことで、やっと問題が表面化してきたのです。

試行錯誤の末、二酸化炭素を2~8倍補給して作物を育てたところ、収穫量がぐっと増え、果実も甘みが増すことがわかりました。

日本では、冬のピーマン、トマト、キュウリ、メロンなどを、ヨーロッパでは野菜のほか、カーネーションやバラなどの花を二酸化炭素で栽培し、収穫を上げています。

ちなみに、植物にとって望ましい二酸化炭素は1500~3000ppm。

この数値を満たしていた石炭紀古生代)の頃は、まさに理想的な環境だったといえます。