神戸牛が美味しいという評判になった理由
生ものはどんなものでも新鮮なほうがおいしいと考えられがちですが、肉の場合、牛でも豚でも鶏でも、実は腐る寸前の方が美味しいのです。
動物は死ぬとすぐに死後硬直のため肉が固くなります。
その状態で、放っておくと硬直が解け、やがて熟成が進みます。
それとともに肉が柔らかくなり、甘みも増してくるのですが、熟成とは言葉を変えると腐敗が進んでいることですから、そのままにしておくと完全に腐ってしまいます。
その直前に食べるのが美味しいというわけです。
明治になって外国から日本に来た船はまず神戸に寄港し、そこで肉類をはじめとする食料を買い込み横浜に向かったのですが、横浜につく頃神戸で買った牛肉の塾生がほどよく進み、うま味が頂点に達していました。
このため外国船を中心に「神戸で買った肉はうまい」という評判が横浜から東京に広がりました。
神戸牛に申し訳ありませんが、当時評判が良くなったのは、品質が特別いいから・・・ではなかったのです。