乳歯が小学校低学年までに抜けるのは成長を断念するから。
人間の歯は、小学校低学年頃までに、それまでの乳歯がすべて抜け落ちて永久歯に生え変わります。
どこも悪くないのにポロリと抜け落ちますが、なぜこんなことが起きるのでしょうか。
一言でいえば、乳歯がこれ以上いくら頑張らなくても、その人のあご骨の成長に追いつけなくなるからです。
乳歯が生え始めるのは生後6ヵ月くらいからで、三歳くらいで生えそろいます。
といっても、乳歯は永久歯のように上下16本ずつの32本ではなく、10本ずつ、全部で20本しかありません。
乳幼児のあの小さなあごにはそれでちょうどよくて、これ以上の本数だと歯をもっと小さくするしかなくなります。
それでは歯の機能を損なうし、歯自体の耐久性にも影響します。
そして遅くても13歳頃には、あごの骨は子供時代とは比較にならないほど大きく育ちます。
こうなると、今までエナメル質細胞を補充し続けて自ら成長し、必死であごの成長を追いかけてきた乳歯も、ついに「もうこれまで」と断念するしかなくなります。
歯と歯の間にすき間ができ、20本のままではよほ巨大な歯でばければ間に合いません。
増やすなら思い切ってリニューアルしたほうが合理的だというわけです。
このとき、もうあご骨は成長しないのだから必要ないというので、エナメル質細胞は消失してしまいます。
永久歯が一度抜けると生え変わらないのはそのためです。