名古屋の「ういろう」は元々薬の名前
昔、名古屋最大のういろうメーカー「青柳」が、ヤナギを英語でウィロウということから、自分のところでつくっている菓子に「ういろう」と名付けた、というまことしやかな説を聞いたことがあります。
でも・・・これはウソ!
ういろうの名前はもっともっと古く、足利義満の時代までさかのぼります。
応安のころ(1368~1375年)に、当時の中国の元から帰化した人がいました。
彼は、頭痛を抑えて眠気を覚まし、口中をさわやかにするという透頂香(とうちんこう)なる薬を日本に持ち込み製法を伝えたのですが、この人が外郎(ういろう)という官職に属していたため、人々はこの薬を外郎丸(ういろうがん)と呼ぶようになりました。
さて、それ以前から、黒砂糖と餅米でつくった蒸しようかんのような黒い菓子が全国的に作られていました。
これが、まったく外郎丸にそっくりということで、こちらのほうも、ういろうと呼ばれるようになっていました。
こうしてしばらくは、菓子のういろうと薬の外郎丸の二本立ての時代が続きましたが、やがては、ういろうといえば菓子のほうを指すようになったのです。