クジラは、なぜ哺乳類なのに水中で生活できるのか?
プールに潜ればわかるように、私たちは、水中では一分ほどで苦しくなってしまいます。
とても、水中生活ができるほど息を止めてはいられませんが、はたして私たちと同じ哺乳類のクジラは、どのくらい水に潜っていられるのでしょう。
シロナガスクジラの潜水時間は15分くらいです。
これでは、割とひんぱんに息をするために上がってこなければならず、水の中で生活するにはちょっとせわしないという気がします。
それでも、人間の潜水能力に比べればはるかに大きいことは間違いありません。
マッコウクジラは、なんと一時間以上も潜っているそうです。
それなら、クジラの肺はどんなに大きいのだろうと思いますが、体の大きさを人間と同じくらいとみなして比較すると、人間の1.5倍しかないそうです。
それで、どうして一時間以上も潜っていられるのか不思議ですが、その秘密は、呼吸の仕方が人間とはかなり違うことにあるようです。
私たちは、普通の状態では浅い呼吸をしています。
肺の中の空気は、10~15%くらいしか入れ替わっていませんが、クジラは一回の呼吸で80~90%くらいを入れ変えてしまいます。
肺の大きさの違いを考えると、一回の呼吸で人間の10倍近くの酸素を取り込んでいることのなるわけです。
また、クジラは筋肉に多量の酸素をため込んでいます。
クジラの筋肉中には血液中のヘモグロビンによく似たミオグロビンという物質が多量にあって、その量は陸上の哺乳類の3~4倍にもなるといいます。
マッコウクジラでは8~9倍も持っています。
ミオグロビンは、ヘモグロビンと同じように酸素と結びついていますが、筋肉が酸素不足になると、酸素を放して補給します。
このミオグロビンが赤い色をしたたんぱく質なので、クジラの肉は濃い赤色をしているのです。