その昔、マグロのトロは捨てられていた。

寿司の中でも特に人気で、高価なネタがトロ。

ところが、昔(とはいっても戦前あたりまで)は、マグロの本流はあくまでも赤身。

トロはマグロのゴミとされ、食べずに捨てていたというのです。

つまり、ああしてトロリとしているのは身が古く、腐り始めたためと考えられていたわけです。

その証拠がトロの語源。

トロリとした舌触りからきているのかというとそうではなく、池田弥三郎著「たべもの歳時記」によると語源ははるか「古事記」にまでさかのぼるそうです。

日本の国がつくられた頃のこと。

死んだイザナミノミコトを連れ戻しに黄泉の国へ行ったイザナギノミコトは「絶対に見ない」という約束を破ってイザナミノミコトの姿を見てしまった。

そのときのイザナミノミコトの体はウジがたかり、とろとろになっていた・・・。

「ここにでてくる『とろ』といのが、マグロなどのトロというのと、同じことばであろう」(同著)というのです。

「とろとろ」は腐った状態を指す擬態語なので、腐ったような感触のマグロの脂身をトロと呼ぶようになったわけです。

「肉は鮮やかな赤色のものが新鮮!」とは限らない!

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