「飲み水を買う」習慣は江戸時代からあった

f:id:itomaxyz:20200928213433j:plain水道水をそのまま飲むのに不安があることもあってか、今では多くの種類のミネラルウォーターが売られています。

きっと、昔は水がきれいでおいしかったので、わざわざ買うこともなかったのだろうと思うでしょうが、実は江戸時代でも、水を売り歩く「水屋」という商売があったのです。

神田上水玉川上水は、自然の勾配をつけて町々に配水されていたので、使われなかった水はそのまま河川などに放流されます。

その水を水船で運び、上水の通っていない地域や、良質の井戸に恵まれない地域に行っては、天秤棒の両端に細長い桶をつけて担ぎながら「みずー、水」と売り歩いていたのです。

また、売り歩いた水は、山の手の名水であることもあれば、川の水をそのまま汲んで売り歩くこともあったようです。

江戸の中でも深川周辺は水が乏しく、いつも水屋から水を買っていました。

しかし、塩分を含む水を汲んでくることも多かったらしく、来客に茶を出すのに困ったという話が残っています。

明治になっても、下町では、朝夕、二桶一銭で水を買っていたといいます。

こうした水屋は、明治31年に改良水道が引かれるまで、大繁盛し、庶民の生活を支える重要な役割を果たしていました。

人がたくさん集まれば、飲み水の確保に苦労する、これは今も昔も変わりません。